たまねぎレポート 【250号】
平成20年8月26日
阪南青果株式会社
社内報
7月の天候は、梅雨前線の勢力が弱く、全国的に高温少雨であった。西日本では1946年以降3番目の高温で、降水量は平年比70%減で旱魃が続き、日照時間が多かった。北日本は、中旬以降曇りや雨の日が多く、日照時間が少なかった。
8月後半は、全国的に平年よりも涼しい日が続いているし、日照時間も少ない。日本付近の高気圧が一時的に弱まり、冷気が北、東日本に流れ込んだのが原因らしい。
気象庁が発表した9〜11月の3か月予報によると、日本列島を覆う高気圧の勢力が回復することもあり、気温は平年より高めに推移。厳しい残暑と暖かい秋になる見込み。降水量は平年より多いと見られる。
9月、天気は北日本、東・西日本とも数日の周期で変わる。気温は高めで、月前半は日本列島を高気圧が覆うため、残暑も厳しく、30度以上の真夏日もある可能性が高い。沖縄・奄美は平年同様晴れの日が多い。降水量は平年並みだが局地的な豪雨の可能性がある。
10月、天気は数日周期で変わる。気温は高めで、降水量は太平洋側では平年より多くなる見込み。
11月、天気は周期的に変わる。気温は平年並みか高めだが、月後半には北日本で一時的な寒気の流入が見込まれる。降水量は日本海側で平年より多くなる見込み。
東京都中央卸売市場の7月の野菜の入荷は132,422トン前年比107%(前月比104%)と順調であった。関東産地の春夏物と東北産地の夏秋物が重なり果菜類を中心に潤沢な入荷となった。主要品目ではナスが前年比4割増となったほかトマト、キュウリが2割増、ピーマン、ホウレンソウが1.5割増で、10品目が前年を上回った。他方、バレイショ、サトイモが前年比1割減となったほか4品目が前年を下回った。平均単価はkg¥202前年比88%(前月比85%)であった。上旬が¥229、中旬が¥199、下旬が¥188でじり貧相場であった。主要品目ではバレイショが前年比5割高、ニンジンが1割高のほかは総体に前年比安でキュウリ、ナス、レタスは前年の半値近い安値となった。
東京都中央卸売市場の7月の入荷量と単価
|
品 目 |
入荷量 |
前年比 |
前月比 |
単価 |
前年比 |
前月比 |
|
野菜総数 |
132,422t |
107.2% |
103.6% |
Kg\202 |
87.9% |
84.9% |
|
たまねぎ |
10,122 |
102.0 |
90.1 |
77 |
99.2 |
91.7 |
|
キャベツ |
15,159 |
99.2 |
102.7 |
62 |
69.8 |
92.5 |
|
だいこん |
9,774 |
103.8 |
115.6 |
65 |
81.7 |
90.3 |
|
ばれいしょ |
5,254 |
87.3 |
71.3 |
132 |
152.7 |
89.8 |
|
レタス |
8,982 |
109.0 |
125.7 |
100 |
61.4 |
63.3 |
|
はくさい |
6,322 |
95.1 |
119.7 |
60 |
99.1 |
90.9 |
|
にんじん |
7,212 |
98.8 |
115.2 |
115 |
108.5 |
52.8 |
|
きゅうり |
8,468 |
119.5 |
122.7 |
168 |
54.8 |
73.4 |
|
トマト |
9,424 |
88.9 |
114.2 |
228 |
83.6 |
91.9 |
|
かぼちゃ |
2,880 |
90.9 |
87.5 |
199 |
117.8 |
88.4 |
|
ながいも |
1,050 |
95.3 |
104.4 |
297 |
116.2 |
104.9 |
|
にんにく |
466 |
107.9 |
112.8 |
727 |
134.7 |
84.4 |
7月の建値市場の野菜の入荷は、前年同月を8〜2%上回った。販売単価は前年同月比で15%〜11%安であった。6月に出回る産地の野菜(特に果菜類)が後ずれしたところに7月に出回る産地が重なり入荷増の価格安となった。キャベツが3年来の安値に落ち込んだほか、キュウリ、レタスが不振で、前月比安の品目が多かった。玉葱の入荷は札幌が前年同月を下回ったほかは2〜23%増となり、名古屋以西の市場では2桁増となった。豊作となった府県産地の前向きな出荷を反映したと思われる。平均単価は札幌、福岡、東京は前年並みであったが、名古屋、大阪は前年比安であった。また、東京、名古屋、大阪の3大市場では玉葱の平均単価は前月比安となっており、7月の単価が6月を下回るのは希有で、先き行きの厳しさを暗示している。
東 京 市 場
東京都中央卸売市場の7月の玉葱の入荷は、10,122トン前年比102%(前月比90%)で概ね順調であった。主産地の佐賀、兵庫、香川の3産地で80%を占めた。佐賀の入荷は前年比99%で占有率は45%、兵庫は前年比100%の入荷で占有率は21%、香川は前年比147%の入荷で占有率は15%であった。佐賀、兵庫は在庫増と言われながら予想を下回る入荷であった。平均単価はkg¥77前年比99%(前月比92%)であった。通常7月の平均単価が6月を下回ることは希有のことで、先行きの販売環境の厳しさを窺わせている。
8月に入って、月初めは荷動きに変化はなく、凡調な動きであったが、盆が近づくにつれて盆用の手当て買いや、転送需要が動き出し、荷動きは回復に向った。荷動きの回復に伴い市況も強含みに転じ、中旬の平均価格は上旬比13%上昇し、前年並みの水準に回復した。佐賀・兵庫物には、高温障害による黒煤や芯イタミが見受けられ、品質への警戒心が強まっている。盆前からは北海道の早出し物の入荷が始まったが、着荷良好で意外に見栄えが良く、買参人の関心も強まりつつある。盆明けからは日を追って北海物の入荷が増加したが、府県産に比べて小粒であり、品イタミが少ないことに加えて、割安感から人気が出始めている。早出し物の球流れは良好で、前年に比べて高温による日焼けイタミが少ない。ただ、一部に乾腐病の発生があり、品質の安定は9月半ばになりそうだ。この先、北海物の入荷増とともに、小売段階では府県物から順次北海物に切り替わるが、此処しばらくは終盤の府県物と北海物との競合で、価格的には前年同期を下回る動きとなりそう。
8月に入ってからも、前年を上回る入荷が続き、市況は横這い状態であったが、盆前から次第に荷動きは回復歩調となり、市況も横這いから強含みに転じた。入荷は兵庫を中心に増加傾向で上旬が前年比2割増、中旬は3割増となったが、荷動きは順調で、価格は前年比安ながら前月平均値の1割高となった。盆明けから北海物の入荷が始まった。当初は買参人に見送り気分が見受けられたが、兵庫物は産地の指値が高く、高値販売を余儀なくされていることから、割安の北海物への関心が強まった。府県物に比べ品質に大きな見劣りはなく、値ごろ感が受けて北海物への切り替えが進んでいるももの、今月一杯は兵庫物主導の販売が続きそうだ。入荷量は既に北海物が兵庫を上回っており、北海物の市況は頭打ちから弱含みの動きにある。
大 阪 本 場
8月に入って、入荷は減少傾向となったものの市況は冴えず、7月の平均価格を下回る水準に落ち込んだが、盆前から荷動きが回復に向かい、市況は底値打ちから底上げの動きとなった。中旬に入り盆需要の手当て買いが始まり、入荷は増加傾向となったが、相場は強保合に転じた。淡路物は2Lの入荷比率が低下し、いずれのサイズも荷動きが活発化し品薄高傾向となった。盆には北海物の入荷が始まったが、着荷状態が良かった。風乾・選果の程度も良く品質的に問題はなかったが、L大¥1,500〜1,400、L¥1,300〜1,200の相場で、初荷ながら淡路物とではかなりの価格差が出た。盆明けには淡路物は高値kg¥120、北海も高値kg¥80を付けたが、此処にきて淡路物・北海物とも荷動きは鈍化の傾向にある。府県産の一部には高温障害や老化による品質低下が見え始めている。
福 岡 市 場
8月に入ってからも、荷動きに目立った変化は見られなかったものの、市場関係者の滞貨が徐々に減少し始めた。盆前から主産地の佐賀に出荷見送りの気配が見受けられ、地方市場は入荷減から需給がタイトになり始めた。
8月25日(月)の主要市場の玉葱市況は次の通り
【
北海道 20kg 2L \1,700 〜1,400、L大 \1,700〜1,400、L¥1,350 〜1,150。
〃 20kg M \970 〜 850、S\600 〜 400。
北海道 20kg 2L \1,600〜 L大 \1,600〜1,500、L¥1,300〜1,150。
〃 20kg M \1,100〜 S\600 〜 400。
佐 賀 20Kg 2L\1,300〜 L \1,700 〜1,600、 M \1,700〜1,600。
兵 庫 20kg 2L \1,500〜1,400、L \2,000 〜1,800、 M \2,000〜1,800。
【名古屋北部】入荷95トン、保合
北海道 20kg 2L \1,500〜1,400、L大\1,600〜1,500、L \1,500〜1,300、
〃 20kg M \1,200〜
兵 庫 20kg 2L \1,600〜1,500、L \1,800〜1,700、M \ 1,700〜
【大阪本場】入荷117トン、保合
北海道 20kg 2L \1,400〜 L大\1,600〜1,500、L¥1,500〜1,400、
〃 20kg M \1,200〜
兵 庫 10kg 2L \900 〜 700、L \1,200〜 850、M \1,200〜 900。
島 根 10kg 2L \700 〜 600、L \900 〜 800、M \900 〜
【
北海道 20kg 2L \1,400〜 L大\1,600〜1,500、L\1,500〜
〃 20kg M \1,350〜1,300。
佐 賀 10kg 2L \750 〜 600、L \950 〜 700、M \1,000〜 900。
福 岡 10kg 2L \700 〜 600、L \880 〜 850、M \850 〜
供給(産地)の動き
府県産地の出荷はこの先終盤を迎え日々減少に向かい、供給の主力は北海道産地に移行する。北海道産の今年の作柄は、7月の大豊作予想からやや豊作に下方修正され、一部では豊作だった前年を下回るとの声もある。原因は7月の高温で生育が前進化して、枯れ上がりが早まったことにある。大豊作だった府県産の中晩生の出荷も終盤を迎え、9月以降の出回り量は前年比10%増程度の予想である。また、冷蔵入庫は7月の市況安で前年比2割前後の増となる見込みである。輸入物は原油高からいずれの国も生産費や輸送費が高騰しており、従来のような廉価な輸入は望めない状況にある。従って、9月から来春4月の輸入量は前年比20〜30%減になると予想されている。北海物の出回り量を前年並みと仮定すると、総体的な需給バランスは前年よりも好転する可能性が高い。
府県産地
今年も酷暑や旱魃が続き、府県産地では高温障害に悩まされた。従来から高温時には芯腐りや肌腐りの進行度が早いが、特に佐賀では8月に入って、高温時に発生する黒煤病が多発し、商品化率が著しく低下している。産地では防除に躍起になっているが、未だ発生のメカニズムが解明されておらず、特効薬がなく防除策が確立していない。昨今では病害でなく生理現象だとする説が広がり、薬剤防除でなく肥培管理の見直しが進められているものの、発生を防止するまでには至っていない。近年、淡路でも黒煤の発生が増加傾向にあり、収穫後の貯蔵管理に問題ありと対策を試行錯誤している。従来、アーリー病の被害に悩まされたが、アーリー病以上に黒煤病は伝染のスピードが早く短期間で蔓延し、発生の有無が生産者の収入に大きな影響を与える。
8月に入ってからも7月の安値市況が回復せず、佐賀では産地相場は安値定着状態となり、出荷の後ずれ傾向が続いた。盆前後の市況回復を期待して出荷を見送っていた生産者も多く、なかには中晩生を全量出荷待ちをしている向も少なくなかった。盆前になって盆需要で荷動きが良くなり、市場からの出荷要請が相次ぎ産地も活気づいたが、黒煤が多発し作業に手間がかかり、出荷が注文に追い付かず市場では盆明けも品薄高が続いた。今年は豊作で球肥大が良かったものの、肩落ちや裂皮などB級品の発生率が高かったが、黒煤の多発で更に商品化率が低下した。また、猛暑が続き日射病を警戒して屋外作業が控えられたため、JA、商系とも集荷は思うに任せず、品薄高傾向が長期化した。黒煤の発生で一時加工原料がだぶつき、止む無く冷蔵庫に緊急入庫した向きもある。即売の残量は前年に比べ2割程度多いが、9月半ば過ぎには終了すると見ている。
淡路では、此処にきて日量出荷は減少傾向にあるが、8月の市場出荷と冷蔵入庫が順調で8月末の在庫は前年並みかやや多い程度に減少した。特に盆前の市況回復で盆前後の出荷が意外に進行した。現在、出荷の球流れは2Lの比率が低下し、7月出荷に比べて小振りになっている。肥大球は貯蔵性が劣るとして、2Lの多い品種や圃場の出荷を先行したことによると思われる。淡路では中生は「ターザン」晩生は「もみじ」が代表品種とされているが、近年「もみじ」の品質低下に悩まされている。種子自体の退化現象か、栽培管理に問題があるのか定かでないが、今年も「もみじ」は品質低下が進み、腐敗の発生率が高い。完熟を待てずに若穫りをした為か、首が太くて締まりが悪く芯腐りが多い。他方「ターザン」は光沢が良く芯腐り、肌腐りとも少なく品質は良好である。今年6月の収穫期には雨天曇天が続き、水捌けの悪い圃場で湿害が見受けられたが、今も尻部が変色し、水焼け後遺症と思われるイタミの見える物もある。今年の玉葱は総じては数年来の良質で、総体的には肩腐り、肌腐りが少なくロス率は低いと言う。近年、淡路でも黒煤の発生が見受けられるが、今年も盆明けから目立ち始めている。今のところ前年に比べ発生率は少ないが要注意である。冷蔵物の入庫は冷蔵協会の盆迄の集計値は、20kg94万ケース(18,800t)と報告されている。最終入庫量は130万ケース(26,000t)前年比30%増と予想されている。
香川、愛媛も即売物の出荷は終盤に入り、此処にきて日量出荷は日々減少している。冷蔵入庫もほぼ終了した。香川の入庫量は前年並みの約2,000トン。品質は良好だが球流れは大粒で、2L65%、L30%、M5%。価格は21kg詰め裸値2L¥1,100、L・M¥1,500、となっている。愛媛も入庫はほぼ前年並みの2、000トンと見ている。球流れは大粒で2L45%、L50%、M5%の比率で、価格は2L¥1,292、L・M¥1,617とかなりの割高である。
北海道産地
ホクレンの調査では、本年の作付面積は12,214haで前年並み、生産量は685,170tonで前年比3%減、出荷量は627,240tonで前年比1%増と報告されている。作柄は7月予想の豊作から平年作に下方修正されているが、未だ確定的ではない。7月が高温少雨で生育が前進化し仕上がりが早まり、作柄は7月予想を下回る状態になっている。北海道農政部の8月15日現在の調査では、生育は平年並みで空知は1日、上川は4日、網走は2日前進している。と報告されている。通常、生育後期の前進化は収量減につながることが多い。現在、8月後半の天候は低温が続いていることから、中晩生系の作柄に多少回復の可能性がある。
盆前に産地を一巡した段階では、いずれの産地の圃場も平年の盆明け時の状態で急な変化に目を疑う有様であった。既に葉茎が色褪せして根の老化が進み完熟間際の圃場が多かった。札幌地域は、地上部に青味の濃い圃場も多く、一雨あれば球肥大が期待されそうで平年作をやや上回ると見受けられた。岩見沢は葉茎の色褪せが進み、既に完熟した圃場もが多かった。圃場格差はあるが、総じては平年作で前年をやや上回ると見た。また、根切りを見送っている圃場が多い。昨年は盆の高温で日焼け被害が大きかったことから、高温がピーク時を過ぎる盆明けを予定している模様。富良野地区では、収穫が始まっている圃場の反収は前年を上回っており、中晩生系の圃場も豊作型であった。特に、中富良野周辺の球伸びが良かった。根切りは日焼けを警戒して遅らせていると言う。北見地区は昨年に比べると見劣りするが、平年作以上は確保出来ると見た。雹害を受けた圃場の多くは鋤き返したと言うが、残された圃場は顕著な回復で生命力の強さを感じさせられた。全道的には日焼け障害や乾腐病の被害は前年より軽微で、前年以上の出荷量は確保出来そうである。
輸 入 物
7月の輸入は速報値で14,025トン前年比80%と再び減少傾向となった。中国が13,412トンで前年比78%、ニュージが322トン、オーストラリヤが270トン、両国とも前年は零であった。中国物の6月は皮付きが多かったが、7月は殆どがムキ玉となった。今後も前年比80%前後の入荷となりそうだ。アメリカの貯蔵性玉葱の作付けは30,300ha前年比92%と報告されている。今年は春先の天候不順と8月の高温で球肥大が悪く、小玉傾向で作柄は芳しくないとの報告されている。アメリカのマーケットも堅調な動きで今のところ日本との成約は進んでいない。
9〜10月の見通し
北海道産の作柄が下方修正になったことで需給バランスは改善されたが、楽観出来る状況ではない。此のところ家庭消費は増加傾向にあるが、他方、冷凍食品の不振が続き、連れて玉葱需要も減少傾向が続いている。この先、輸入の減少で供給は前年を下回りそうだが、業務・加工需要の減少や不景気の物価高で消費者の財布の紐は固く、此処当分は前年水準を上回る価格は望み薄である。(了)