たまねぎレポート【236号】
平成19年5月24日
阪南青果株式会社
社内報
4月の天候は、全国的に低温・少雨であった。前線の通過後に寒気が入ったため北日本、東日本の平均気温は平年を1度近く下回った。西日本の7地点では降水量が観測史上最低を記録した。
気象庁が発表した5月21日〜6月17日の1か月予報によると、5月下旬は、本州付近を低気圧と高気圧が交互に通過する。このため、北日本から西日本にかけての天気は数日周期で変わる。ただ、寒気や湿った空気の影響で平年より雲が広がりやすく、雨や雷雨の日もある。
6月上旬から中旬は、全般に周期的な天気変化となるが、東・西日本は梅雨前線や暖湿流の影響で、次第に曇りや雨の日が多くなる見込み、
梅雨入りの時期は、九州南部で平年並みか平年より遅く、九州北部から東北は平年並みとなる見通し。南西諸島は期間中梅雨前線や湿った空気の影響で、平年と同様にぐずつく日が多い。
この先1カ月の平均気温は、北日本で平年並みか平年より低く、東日本から南西諸島は平年並みとなりそう。
需要(市場)の動き
東京都中央卸売市場の4月の野菜の入荷は126,043トン前年比100%.(前月比95%)であった。主要品目では、玉葱が前年比28%増と目立ったほか、人参、トマト、ピーマン、なすが前年を上回った。反面、大根が前年比18%減となったほか、白菜、レタス、ねぎ、きゅうり、馬鈴薯が前年を下回った。平均単価はkg¥219前年比93%(前月比99%)であった。品目別では、入荷減が続いているレタスが前年比5割高となったが、他は軒並みに前年割れとなった。人参、玉葱が前年比3割を超える安値に落ち込んだほか、白菜が3割安、キャベツが2割安、ピーマン、きゅうり、馬鈴薯、ほうれん草が1割安であった。
東京都中央卸売市場の4月の入荷量と単価
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品 目 |
入
荷 量 |
前年比 |
前月比 |
単 価 |
前年比 |
前月比 |
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野菜総数 |
126,043t |
99.9% |
95.4 |
kg\219 |
92.8% |
98.6% |
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たまねぎ キャベツ ばれいしょ だいこん にんじん ト マ ト きゅうり レ タ ス はくさい ね ぎ かぼちゃ ながいも にんにく |
15,228
16,071 9,251 9,209 7,330 6,370 6,317 6,295 5,668 3,895 3,406 1,048 420 |
127.9 100.0 99.5 82.0 107.1 106.5 95.9 87.4 86.3 96.9 134.7 97.2 102.1 |
130.4 103.9 105.7 76.4 85.7 108.9 94.1 88.6 77.3 79.4 87.3 92.7 88.2 |
70
96 127
91 124 391 255 241
59 217 161 198 458 |
66.8 78.3 90.6 92.1 65.1 98.8 90.7 147.2 72.1 87.8 75.0 105.4 90.0 |
68.6 121.5 105.8 133.8 161.0 85.9 96.2 112.6 101.7 134.8 121.1 102.1 107.8 |
4月の主要市場の野菜の入荷は、
東 京 市 場
東京都中央卸売市場の4月の玉葱の入荷は15,228トン前年比128%(前月比130%)で予想外の増加であった。月初めは北海物主導の販売であったが、中旬から佐賀物が急増し、主力は例年より早く佐賀物に移行した。主力の佐賀物の入荷は前年比156%占有率56%で10ポイントも上昇した。北海物も在庫が予想外に多く入荷は前年比138%占有率36%で3ポイント上昇した。続く熊本が前年比235%、愛知が146%と増加したほか、中小産地の長崎、宮崎、埼玉などの入荷も前年を上回った。反面、極早生産地の静岡は出荷が前進化し切り上がりが早く前年比23%の入荷にとどまったし、中国物も73%に減少した。月平均単価はkg¥70前年比67%(前月比69%)であった。4月の価格としてはkg¥70は平成14年に次ぐ安値で、産地では再生産価格を割り込む安値に悲鳴を上げている。佐賀を始め新物の大量入荷で主力の佐賀物は前年価格の52%、ヒネ物は輸入物の減少で北海物に集約され、北海物は入荷増ながら前年比86%の価格水準を維持した。
今年の府県産は、温暖適湿の好適な天候に恵まれ、静岡の極早生を始め佐賀、長崎、愛知などの早生は軒並みに生育が前進化し、大豊作となった。特に佐賀を筆頭に九州産地は増反と豊作が重なり、4月の出荷量が急増し予想外の暴落を招くことになった。
5月に入り、洪水的な入荷は峠を越したものの、淡路を始め他の中晩生産地も生育良好で豊作型となったことで、昨年を上回る入荷が続いている。いずれの産地も豊作を反映して、2Lの比率が高く、2Lの中には1球平均500gを超える20kg詰めもあり、大き過ぎて受け皿探しに苦労した。例年、続落歩調となる連休明けの市況は、4月暴落の直後だけに落ち着きを取戻し、主力の佐賀物も平均値で4月下旬の¥47から5月上旬には¥54に戻している。今後は佐賀物の入荷が減少傾向となり兵庫、香川が増加傾向となるが、中小産地の作柄も豊作型であることから、当面はkg¥60〜55の水準で推移すると思われる。
名 古 屋 市 場
5月に入り、北海物が終了したことや愛知、佐賀の極早生が終盤に入ったことで、入荷は安定化に向かった。しかし、続く愛知、兵庫の普通早生も豊作で入荷は引き続き前年を上回ったが、相場は底値固めから緩慢ながら回復にむかった。通常年では大型連休前後から、入荷が急増して続落する相場も、今年は早い時期に暴落したため、連休明けの入荷は減少傾向で相場は凡調に推移した。ただ、2Lは例年に比べ一回り大きい上に発生率が高く、苦しい販売が続いている。此処に来て量販店などの動きに蔭りが見受けられ、相場は再び弱含みの状態にある。
大 阪 本 場
5月に入り、連休明けからは、淡路物の入荷が本格化し佐賀物が減少傾向に転じた。極早生から普通早生に切り替わったことで、入荷は順調だが安定化し、末端の荷動きも良くなった。月半ばからは淡路物主導の販売に移行したが、淡路も豊作で2Lの発生率が高い。量販店などには2Lのバラ売りを督励しているが、思うに任せず販売に頭を痛めている。今年府県の早生は大粒でM・Sが少なく、割高だったMの動きも鈍化し値下がりしている。産地関係者のなかには淡路の中晩生の不作説があるが、当面市況に反映することはない。
福 岡 市 場
歩調であった。
5月に入って、極早生から普通早生に切り替わりが進んだものの、依然2Lの発生率が高く、売れ残りが続出した。量販店にはバラ売りを奨励し、業務・加工筋には2Lの利用を懇請するなど努力を重ねたが完売に至らず、産地には2Lの市場出荷の抑制を要請をしたが、思うようには減らなかった。此処に来て佐賀の出荷がピークを過ぎ入荷が減少傾向にあり、2Lの比率も低下傾向となっているが、末端の荷動きは今一つで、市況の回復はまだ見えていない。
5月24日(木)の主要市場の玉葱市況は次の通り
【
佐 賀 20kg 2L \900 〜 800、 L \1,300〜1,250、 M \1,200〜
〃 10kg 2L \450 〜 430、 L \650 〜 600、 M \600 〜 550。
愛 知 20kg 2L \700 〜 L \1,100〜
大 阪 20kg 2L \670 〜 L \700 〜
佐 賀 20kg 2L \700 〜 600、 L \1,200〜1,000、 M \1,200〜1,000。
兵 庫 20kg 2L \700 〜 600、 L \1,200〜1,000、 M \1,200〜1,000。
香 川 20kg 2L \800 〜 700、 L \1,300〜1,200、 M \1,300〜1,200。
千 葉 10kg 2L \350 〜 L \500 〜 400、 M \500 〜 400。
愛 知 20kg 2L \600 〜 L \1,100〜 M \1,100〜
【名古屋北部】入荷197トン、保合
愛 知 20kg 2L \700 〜 600、 L \1,200〜1,100、 M \1,100〜
兵 庫 20kg 2L \700 〜 550、 L \1,200〜 M \1,300〜
【大阪本場】入荷114トン、保合
兵 庫 10kg 2L \400 〜 300、 L \700 〜 450、 M \700 〜 500。
〃 20kg 2L \800 〜 700、 L \1,100〜 900、 M \1,100〜1,000。
佐 賀 20kg 2L \500 〜 450、 L \600 〜 M \550 〜
大 阪 20kg 2L \600 〜 550、 L \800 〜 M \900 〜
【
佐 賀 10kg 2L \500 〜 350、 L \600 〜 450、 M \700 〜 550、
長 崎 10kg 2L \500 〜 350、 L \650 〜 450、 M \700 〜 550、
供給(産地)の動き
4月は、北海物の出回りが多かったことに加えて、府県の早生物は天候に恵まれ生育はが前進化した上に豊作で出荷が激増し、暴落市況に見舞われた。誰もが輸入物の減少を好材料と見て、安心感が優先し危機感が薄れていたことが値下がりを速めた。5月に入ってからは、いずれの産地の出荷も安定化しているものの、早生物は予想外の豊作で出回り量は前年を上回っている。4月、5月の市況は平成14年に次ぐ安値に落ち込んでおり、市場の平均価格は、安定事業の保証基準価格である4月のkg¥82、5月の¥64を割り込んでいる。既に西日本産地では、早生の出荷が終盤に入り中生に移行しているが、中生は平年作をやや上回るものの晩生は平年作と予想されている。中晩生とも早生に比べると玉肥大は小振りで、2Lの発生率は早生に比べると可成少ない。収穫後の日持ちも早生に優ることから、多少の出荷調整は可能であり、産地では短期ストック(コロガシ)に回る向きも多い。この先、西日本産地では田植期を迎えるため、出荷は減少傾向になると予想されるが、一旦落ち込んだ市況の回復には可成の時間が掛かるものと見てる。低迷市況と夏日の続くなかでの農作業は心身共に疲れる。
北 海 道 産 地
1〜4月のホクレン、北商の道外出荷は158,800トン前年比105%で予想の範囲だが、市場の販売量は10%増を超えている。今ジーズンは暖冬であったが春になっても品質低下が見受けられず、商品化率は今までになく向上した。また、終盤の市況は期待価格を下回ったものの、府県産地の早生物の様な安値ダメイジを受けずに終了した。
既に次シーズンの移植作業も、例年に比べ1週間から10日も早く終了した。作付は前年を8%前後上回ると見られており、種苗会社では一部品種に品切れがが出たと言われている。種の動きからは中生の増反率が高く前年比30%増となっている反面、晩生は7%減で中生と晩生の作付が逆転することになる。移植後の天候は、低温傾向ながら適雨に恵まれ活着が良く、苗立ちから初期生育までは順調で、生産者の多くは豊作の確率が極めて高いと見ている。ただ、現状の府県産の異常安値の後遺症が起きないかと気がかりの様子である。
近年北海道では、玉葱の増反を踏まえ府県産から北海道への切り替え時期の前進化が課題となっており、8月上旬から出荷可能な早生種の育成・開発が急がれている。府県産品種での栽培改良や「北早生」「北はやて」などの極早生の栽培が奨励されているが、品質的な評価は今一つである。平成17年には「収太郎(北見交39号)」が開発され年々極早生品種が増加の状況にあり、将来は周年供給体制に近い8月〜翌年4月迄の販売を目指している。
府 県 産 地
今年の府県産は、暖秋暖冬で早生の生育は2週間から10日前進化したが、続く中晩生も1週間から5日前進化している。大豊作と言われた早生に比べると、中晩生の作柄は平年作かやや上回る程度に下方修正され始めている。
主力産地の佐賀では、早生は大豊作で反収は多い圃場では8トン、少ない圃場でも6トンの収穫があった。豊作年に多発する抽苔は思いのほか少なく、替わりに分球が多発し、正品化率は低下した。4月の出荷はJA、商系ともに前年を50%前後も上回り市況の暴落を招いた。今年、九州産地はいずれの地域も増反増収で、地場市場が地物で埋り、佐賀物の商圏が阻まれ、販売力のある佐賀物は大市場にむけて集中的な出荷となったため、東西の主力市場から値崩れを起こした。 連休明けからは、洪水的な出荷はなくなり、月半ばからは前年を下回る出荷に減少している。年々極早生、早生の栽培が増加しているので、JAなどでは早生種の一部(七宝早生7号)をマルチ栽培から露地栽培に切り替えを奨励したこともあり、露地栽培の早生が増えた。安値市況を回避して露地早生を青切り出荷から、小屋吊りに回している向きもある。現在、産地生産者価格(20kg裸値)は4月の安値¥300から¥550に回復しているが、生産者としては¥800は欲しいところである。
当社が進出したした頃の佐賀は、淡路に次ぐ中晩生の産地で吊玉葱が主力であった。昭和60年(1985年)の資料を見ると作付2,200ha、期別出荷割合は4月が5%、5〜6月が23%、7〜10月が68%、11〜3月が4%とあるが、平成18年では4月が21%、5〜6月が45%、7〜10月が34%となっており、今年は更に前進化して6月末の進捗率は70%に達すると見られている。
中晩生の主力産地である淡路では、早生種は豊作であったが中晩生は平年作と観測されている。早生、中晩生とも生育は平年より3〜5日前進しているが、他産地に比べると生育進度は遅れている。既に早生の収穫は終盤で中生の収穫が始まっている。早生は玉肥大が良好で、5月出荷の球流れは概ね2L48%(前年38%)、L37%(前年47%)、M8%(前年11%)、外6%(前年3%)で豊作型である。中生もアンサー、オメガは豊作と見られているが、作柄にバラツキがあり可成の圃場格差が出ている。5月は気温の高低差が大きかったが、中旬は低温気味で玉葱の生育には好適だと思われたが、病害の発生が見受けられるほか、強風による倒伏で葉茎に損傷を受けた圃場もあり、豊作の期待は薄れている。圃場の排水度合いが生育に大きく影響しているし、作柄の優劣は早生、中生、晩生の順でいずれの地域も晩生は良くない。此処に来て産地相場は上昇基調にあり、20kg切り落し裸値¥800〜700と4月の安値¥500からは50%高となっている。
輸 入 物
4月の輸入は速報値で17,675トン前年比86%で減少傾向が続いている。中国が13,904トンで前年比123%、ニュージランドが1,832トン前年比37%、オーストラリヤが1,507トンで前年比80%であった。この先6〜9月の輸入は中国が主力となるが、今年中国の主要産地では増反が進んでおり、前年を上回る輸入が予想されている。ただ、為替レートが円安に動いているため、従来の様な安値はなく、ムキ玉のウエイトは更に高くなりそうだ。
6月の見通し
気象庁の予想では、今年の夏も暑さが厳しくなりそうだ。6月は九州地方から順次梅雨に入り、高温多湿の天候が続き、野菜の販売環境は厳しさを増す。府県の玉葱は例年、5月をピークに出回り量は減少するが、夏期に入る6月からは消費も大幅に減少する。例年、6月の市場価格は5月を下回っており、今年も同様の動きが予想される。東日本の市場では地場物の入荷が最盛期に入り、西日本産地の商圏は縮少される。今年、東日本地域の玉葱も豊作型で当面の供給過剰傾向は避けられそうにない。市況の回復は早くても6月下旬と見ている。(了)