たまねぎレポート【232号】
平成18年8月22日
阪南青果株式会社
社内報
7月は、東日本、西日本では降水量がかなり多く、特に日本海側では平年の2倍以上の降水量があり、7月の降水量の最大値を更新した地点が多かった。日照時間は、北海道と南西諸島は平年並みだったが、ほかは少なかった。平均気温は東北・北陸で低かったが、ほかは平年並みか高かった。
気象庁が発表した8月21日〜9月17日の1か月予報によると、8月26日から9月初めは、北日本から西日本では前線や湿った気流の影響で、ぐずつく時期がある。南西諸島は、太平洋高気圧の圏内で平年同様晴れる日が多い。その後9月半ばにかけては、太平洋高気圧が勢力を強め、北日本から西日本では晴れて残暑の厳しい時期がある。南西諸島は、太平洋高気圧の周辺部で湿った空気が流れ込み、ぐずつく時期もある。なお、南の海上は広く低圧部となっており、熱帯低気圧や台風が発生して日本に影響を与える可能性もある。
気温は8月26日から9月初めにかけて、北日本から西日本の厳しい残暑はいったんおさまり、平年並かやや低くなる時期がある。9月半ばにかけては再び平年より高くなる時期がある。南西諸島は、期間を通じて平年より高い日が多い。
需要(市場)の動き
東京都中央卸売市場の7月の野菜の入荷は122,078トン前年比97%(前月比90%)で、雨天、曇天が続いたことで、生育遅延などが生じ、品目別にはバラツキがあったが、総じて減少傾向となった。主要品目ではキャベツ、馬鈴薯、ピーマンが前年を上回ったが、他の品目は前年を下回った。平均単価はkg¥231前年比112%(前月比104%)で堅調に推移した。上旬の¥215が下旬には¥260と月間で20%の値上がりとなった。玉葱は不需要期だったが、入荷減と他野菜の高値に連れられて強保合で推移した。
東京都中央卸売市場の7月の入荷量と単価
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入 荷 量 t |
前年比 % |
前月比 % |
単 価 \/kg |
前年比 % |
前月比 % |
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野 菜 総 数 |
122,078 |
97.3 |
89.9 |
231 |
112.2 |
103.6 |
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た ま ね ぎ キ ャ ベ ツ ト マ ト ばれいしょ だ い こ ん レ タ ス き ゅ う り に ん じ ん は く さ い ね ぎ か ぼ ち ゃ な が い も に ん に く |
10,114 16,019 8,225 5,380 8,500 8,794 7,035 5,850 6,265 3,886 2,726 1,347 442 |
91.6 104.9 99.2 102.6 93.6 99.5 92.3 98.1 100.3 93.0 90.1 102.6 86.9 |
81.4 100.4 89.8 61.4 99.4 108.8 90.4 86.5 106.6 85.9 98.8 87.8 88.2 |
85 65 266 126 101 130 256 193 67 308 221 180 517 |
105.2 102.7 114.3 88.3 127.3 146.2 109.9 149.4 143.9 120.5 141.4 97.2 119.4 |
118.1 79.3 105.6 102.4 120.2 109.2 121.9 103.8 79.8 111.2 70.4 97.8 111.9 |
7月の主要市場では、福岡を除く建値市場の入荷は前年並みか前年を下回ったが、平均単価は何れの市場も前年を10%前後上回った。梅雨明けの遅れや日照不足と、夏野菜産地の豪雨被害で入荷が減少し、白菜、人参、レタスの高値が続いた。玉葱の入荷は東京、大阪が前年を下回ったものの、札幌、名古屋が前年を大きく上回ったが、価格は何れの市場も前年を上回った。
東 京 市 場
東京都中央卸売市場の7月の玉葱の入荷は10,114トン前年比92%(前月比81%)で減少傾向が続いた。主力産地佐賀の入荷減が影響した。佐賀の入荷が前年比84%占有率50%に落ち込んだのを始め、続く兵庫も前年比92%占有率17%であった。中小産地の香川が前年比148%占有率9%、群馬が前年比172%占有率3%と増加・上昇した。平均単価はkg¥85前年比105%(前月比118%)で堅調に推移した。
7月後半の玉葱市況は、前半の軟調相場を引継ぎ、入荷は減少傾向だったが荷動きが鈍化し、市況は弱含みであったが、下旬に入って荷動きが回復し、相場は強含みに転じた。梅雨空が長引き、日照不足で夏野菜の多くの品目で生育が停滞し、品薄高となったことが玉葱相場にも影響した。7月前半の市況が軟調で推移したため、主産地の佐賀、兵庫のコロガシの出荷が後ずれ傾向となり、高温による需要不振と品質低下も加わり、市場に警戒心が強まった。
8月前半の市場は、日照不足の後遺症が解消しない内に、全国的な猛暑と地域的な旱魃に見舞われ、土物類以外の野菜の入荷は軒並みに減少し、品薄高が深刻化した。上旬の野菜の平均単価はkg¥285と前年比173%に上昇した。玉葱の入荷は前年を6%上回ったが、価格は18%高となった。他の野菜の高値で比較的入荷が安定して、価格的にも値頃な玉葱に代替需要が起きて、堅調な動きとなった。
名 古 屋 市 場
名古屋市中央卸売市場の7月の玉葱の入荷は4,301トン前年比111%(前月比87%)と順調であった。兵庫が前年比96%の入荷で占有率が54%、終盤となった愛知が前年比202%で占有率は28%、愛知物の入荷が大幅増となったことが全体量を押し上げた。平均単価はkg¥79前年比101%(前月比127%)、兵庫物は産地からの差し値が厳しく、売価は前年を上回ったものの、愛知、佐賀は前年を下回った。
7月後半の市場は、愛知物が殆ど終了し、淡路物主力の販売となったが、産地の指示価格が高く、勉売に努めたが実勢は指示価格を¥100以上下回る状態が続いた。価格浮上を目指して、上場数を調整しても買手が反応せず、むしろ荷動きは鈍化傾向となった。買方の割安物を求める声が強まったが代替え産地がなく、融通がきく荷口の小さい個選物や商系物の荷引きに努めた。輸入は少量ながら中国の再選品が入荷したが、品質は良好だったが人気は今一つであった。
8月前半の市場は、多くの品目が天候不順の影響で品薄高となり、玉葱にも買い気が強まり強保合の動きになった。産地の強気に促されて値上がり歩調となり、相場は20kg¥2,000を上回った。北海物の入荷が間近いことから、買い手は当用買いの姿勢を強めたが、産地が盆休みに入ったこともあり、意外の品薄高が続いた。一方、高温・旱魃の影響で品質劣化が進み、イタミが出始め買い手の警戒心が強まった。
大 阪 本 場
大阪市中央卸売市場本場の7月の玉葱の入荷は1,921トン前年比87%(前月比104%)で前月に続き前年を下回った。主力は淡路物で入荷は前年比102%で占有率は84%に達した。島根が前年比83%の入荷で占有率は6%、佐賀の入荷は前年比18%と激減し占有率は2%にダウンした。平均単価はkg¥86前年比103%(前月比124%)で、銘柄品の島根物と淡路物は同水準で価格差はなかった。
7月後半の市場は、例年、京都の祇園祭や大阪の天神祭の時期は、玉葱の売行きが鈍化し市況が軟調となるが、今年は逆に転送需要が動きだし、20kg詰めを主力に荷動きが回復に向かった。6〜7月の日照不足や長雨、豪雨の影響で夏野菜が被害を受け、品薄高となったことが、玉葱の動きを後押しした。盆需要を待たずに市況は回復歩調となった。何れの産地も8月相場を期待して、強気に転向し価格要請が強まった。
8月前半の市場は、産地の強気に促されて、相場は堅調に推移し、kg¥110を上回ったが、盆前の10日前後から頭打ちの状態となった。盆前には市場関係者の間に先安ムードが台頭し、値下がりはなかったものの市況は弱含みに転じた。一部の市場で北海物の入荷があり、品質良好との情報が広がり、買い方の姿勢が消極化した。一般野菜の品薄高も峠を越し、野菜の高値が鎮静化に向かったことも影響した。
福 岡 市 場
福岡市中央卸売市場の7月の玉葱の入荷は1,635トン前年比97%(前月比96%)で減少傾向であった。佐賀物主力の販売で少量の福岡物を併売した。平均単価はkg¥74前年比103%(前月比116%)で価格水準は期待価格をやや下回ったが強含みで推移した。
7月後半の市場は、学期末で学校給食向けがなくなったことや、高温・旱魃で荷動きが鈍化したものの、相場は横這いから強含みで推移した。総体的には夏野菜が品薄高となったことで、末端消費者に買い控えが見受けられたものの、集散機能が作用し入荷増の単価高となった。
8月前半の市場は、京浜、京阪神市場の高値には及ばなかったものの、追随高となった。他方、主力の佐賀物に黒煤や芯腐り発生し、買参人からのクレームが相次ぎ、荷動きは次第に鈍化した。産地生産者の間でも、商品化率の低下懸念から、出荷焦りの状況が見受けられ、相場は頭打ちから弱気配に転じた。
8月22日(火)主要市場の玉葱市況は次の通り
【札幌市場】入荷128トン、弱保合
北海道 20kg 2L \1,420〜1,300、 L大 \2,000〜1,280、 L \1,600〜1,150、 M \1,150〜 820。
【太田市場】入荷180トン、弱気配
北海道 20kg 2L \2,000〜1,800、 L大 \2,000〜1,800、 L \1,600〜1,500、 M \1,300〜1,200。
兵 庫 20kg 2L \2,000〜1,800、 L \2,100〜1,800、 M \2,000〜1,700。
佐 賀 20kg 2L \2,000〜1,700、 L \2,000〜1,700、 M \1,700〜1,600、
中 国 20kg 2L \1,500〜 L \1,400〜
【名古屋北部】入荷55トン、保合
北海道 20kg 2L \2,000〜1,800、 L大 \2,000〜1,800、 L \1,500〜 M \1,200〜
兵 庫 20kg 2L \1,800〜 L \2,000〜1,800、 M \1,700〜
中 国 20kg 2L \1,400〜 L \1,300〜
【大阪本場】入荷90トン、弱気配
北海道 20kg L大 \1,800〜 L \1,600〜1,500、 M \1,300〜
兵 庫 10kg 2L \1,100〜 900、 L \1,100〜1,000、 M \1,000〜 850。
〃 20kg 2L \1,800〜 L \2,000〜 M \1,800〜
島 根 10kg 2L \1,100〜1,000、 L \1050 〜 900、 M \800 〜 700。
【福岡市場】入荷73トン、保合
佐 賀 10kg 2L \950 〜 700、 L \1,050〜 850、 M \1050 〜 900、
供給(産地)の動き
府県産地では盆需要期頃からの値上がりを期待していたが、市況の回復は予想外に早く訪れ、既に盆明けの市況は値下がりに転じている。北海道産地でも8月の高値期待感が拡がり、早出し出荷が有利とのムードが強まった。共に7月の野菜の高値と北海道産地の豊作予想を前提にした発想であった。此処に来て産地状況に変化が起きている。8月20日現在、出荷が終盤に入った府県物の予想在庫は41,400トンで前年比113%。主力産地の淡路、佐賀が前年比15%前後多いが、その他の中小産地はバラツキはあるものの総じては前年並か前年をやや下回っている。冷蔵入庫は21,900トンで前年並みだが、現在産地高で市場出荷では採算割れとなっていることから、今後の入庫は前年を上回ると見られている。最終入庫予想は25,000トン前後で前年比10%増と見ている。
北海道産地では、既に盆前から早生物の出荷が始まっているが、今年の早生は球肥大が順調で前年に比べると球流れは一回り大きい。作付は予想を下回ったものの11,300ha前後で前年比103%、反収は豊作予想が下方修正され平年作かやや下回るものの、前年比3〜4%増と予想されている。従って生産量は60万トン前後で前年比6〜7%増を見込んでいる。
輸入は、中国、アメリカの減反減収が確実視されていることや、現地価格が堅調に推移しているほか、原油の高騰が運賃、資材高を招いていることなど、コスト高となる要因が伝えられ、年内の輸入量は前年を10〜15%下回ると予想されている。
府 県 産 地
主力産地の淡路では、8月20日時点の在庫は前年を15%程度上回っているが、産地相場は20kg切り落し裸値¥1,600〜1,400の高値に貼り付いている。先高期待感が解消されていないほか、商系各社の過当競争が原因と聞いている。品質的には高温障害による質的劣化と病害の発生で商品化率は低下しており、現況の市況水準ではいずれの市場でも逆鞘となる。商系の多くは市場出荷を見送らざるを得ない状況にあり、集荷された玉葱の多くは冷蔵入庫か量販店向けのパック詰めに廻されている。今年は青切りのコロガシ(短期貯蔵)の出荷が後ずれして、出荷終了は7月末になった。吊り玉葱を併せた7月出荷は概ね順調で前年を上回った。冷蔵入庫も商系、JAとも前年を上回る計画で、最終的には18,000トン前後を予想しており前年比12〜13%増になる。品質は前年よりは良いが、猛暑と旱魃が続き高温障害が発生している。黒煤や火傷現象が発生しているほか、肩腐りも多く、市場や納入先から厳選出荷を求められている。特徴としては優良品種の「もみじ」にイタミが多く、中生系の「ターザン」の方が腐敗の発生率が低く品質は良い。
佐賀では、7月は降雨と酷暑に阻まれ、出荷作業が停滞して出荷は予想外に落ち込んだ。8月も猛暑が続き、黒煤の多発と病害による芯腐りの発生に悩まされている。いずれの生産者も商品化率が低下して作業が捗らず、市場からは黒煤と腐敗のクレームが相次ぎ、出荷のペースは大きく落ち込んでいる。高温による品質劣化もあり、冷蔵物の入庫も思うに任せず、B品の入庫が増加ている。多発する黒煤の防除に特効薬はなく、カルシュウムの投入が効果ありとの説が流れ、一部の圃場で効果が確認されたと聞くが、葉面散布は全く効果は見られなかったと言う。品質低下を懸念した生産者の多くは、手仕舞を早めたものの、出し切れなかったと言う。中心産地の盆明けの在庫は前年比10〜13%多いと見ている。既に出荷は終盤に入っているが、此処に来て市況が軟化していることと商品化率が低下していることで、生産者手取りは著しく減少している。
香川、愛媛の中晩生は、球肥大が順調で球流れは前年より太いが、品質は良好である。7月の出荷は順調で前年を上回っている。一部に黒煤の発生はあるが、大きな被害は出ていない。冷蔵入庫は香川で2,400トン、愛媛で2,000トンと見ている。
北 海 道 産 地
今年の北海道の夏は、本州並みの酷暑が続いており、野菜の生育に高温・旱魃の被害が出ている。玉葱は移植後の天候が順調で豊作型が見込まれていたが、8月の高温少雨の影響で現時点では平年作か平年作をやや下回る作柄に変わっている。ホクレンの8月1日現在の生産出荷予想によると、作付は11,207ha前年比103%、平均反収は5,320kg前年比103%、収穫量は596,380トン前年比105%、出荷量は561,000トン前年比107%と報告されている。道農政部の8月15日現在の生育状況では、生育は平年並に推移していると報告されている。いずれにしても前年作を上回るのはほぼ確実で、増反を考えると出回り量は、前年比でホクレン調査の4万トン前後の増加となる。
既に、早生物の出荷が始まっているが、球肥大は良好で色付きが良く、府県物と比べてもさほど見劣りしない。大型店のなかには既に府県物と併売している店舗があり、例年より一足早く店頭に並べられている。
今年の作柄は、地域別に圃場別に多少の格差が見受けられる。降雨量と積算温度差によるものと思われる。倒伏期にもバラツキがあり地域差が大きかった。平均反収では石狩が前年を下回るほかは前年を上回っている。高温・旱魃が続いた割には乾腐病の発生は前年に比べると少ない。8月上旬に紅色根腐病の発生が各地で見受けられ、球肥大の停滞が懸念された。早生の収穫は好天に恵まれ、品質は良好で市場の評価も高く、幸先の良い出発となった。8月出荷は前年を大幅に上回る動きにあり、価格的にも概ね予想の水準を維持した。此の先出荷の最盛期を迎えて市況は軟化の方向にあり、4年続きの春高を経験したことで、9月以降の年内出荷が後退し、出荷が後ずれしないことを祈りたい。
輸 入 物
7月の輸入は速報値で18,955トン前年比89%で意外に順調だった。主力は中国で入荷は18,698トン前年比88%、占有率は99%であった。
今年中国の日本向け産地の作付は、前年比20%前後も減反されている上に作柄が良くないとの情報が伝わっている割には入荷は順調である。7月の輸入価格は、C&F・kg当り¥40〜38で前年比6割高となっている。現在、着荷している皮付きは例年よりやや小振りで肩腐りが見受けられ品質的には可成見劣りする。今月も、ムキ玉を主力に週間3〜4,000トンの入荷が続いている。
アメリカ、詳細な情報は入手していないが、主産地の作柄は不作と聞いている。春の低温と夏の熱波が原因で、何れの地域も小粒傾向で平均収量は平年比15〜20%減と言う。日本向けは今月末の船積みからで価格は50ポンドC&F、L$9〜8.65、M$7〜6.4を提示されている。
9月の見通し
7月後半に値上がりした玉葱相場は、盆明けから値下がりに転じている。7〜8月は何れの野菜も高騰し、野菜の高値が玉葱市況にも影響した。此の間、主要品目で前年を下回ったのは馬鈴薯ぐらいで、玉葱は値上がりの少ない品目の一つであった。7〜8月の野菜の高値は秋野菜への移行と共に鎮静化に向い。9月は一部の品目を除いて平年並みの価格水準に戻ると見ている。野菜の販売環境が常態化するに連れて玉葱の動きも常態化し、順次北海物主導の販売に移行して、市場の中心相場はkg北海物¥80、府県物¥100の攻防と見ている。(了)